目指すはファッションの “マスカスタマイゼーション” Yuima Nakazato『中里 唯馬』-第2話- / 5W1HF

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連載企画「5W1HF

既存の常識に囚われず、独自の視点と感性で常に新しいものを作り続け、世界で活躍するクリエイターの深部に迫るこの企画。

第3回目となる今回は、現在31歳でYuima Nakazato(ユイマ・ナカザト)のデザイナーである中里唯馬氏。

第1話はこちら
 

Yuima Nakazato / 中里 唯馬
彫刻家の父と彫金家の母の間に生まれ、幼いころから現代アートや様々な表現に囲まれて育つ。独学で服作りを開始し、ベルギーアントワープ王立芸術アカデミーファッション科入学。卒業コレクションがヨーロッパで数々の賞を受賞。2016年パリ・オートクチュール組合より招待デザイナーに選ばれパリでコレクションを発表。テクノロジーとクラフトマンシップを組み合わせた新しいものづくりを提案する。http://www.yuimanakazato.com/

 

テクノロジーが担うファッションの未来

転機となったのは、2013年に3Dプリンタの世界最大手のストラタシス社と組んで製作したコレクションで、その後様々な試行錯誤繰り返してきました。

最新のテクノロジーが実際普段着ている私たちの洋服や生活にどう豊かさをもたらしてくれるのかという実用性において、すぐには行き着いたわけではありませんでした。
 
試行錯誤の末に、辿り着いた一つの可能性は、人の体をスキャンし人の体をスキャンし、身体サイズをデータ化したものに合わせてCG上で服をデザインし、3Dプリンタで形成し、服に仕上げる。

ウェブ上でオーダーを受け、世界のどこでも3Dプリンタで出力し届けるということも可能になるかもしれません。一人ひとりに合わせた一点物の服が低価格で生み出せるかもしれません。
 
一つの型紙からできた服を多くの人に着せていくといった従来の大量生産の服のデザインの概念とは真逆の、全ての人へ、それぞれの体に向き合って服を作るという発想です。

 

一人ひとりとの対話の中から気づいたこと

衣装を製作する過程で、「体に合っているから着やすい」とか「コンプレクッスがカバーできて嬉しい」という声を徐々に耳にするようになり、一点物の自分の体に合った服はこれだけ心も豊かにしてくるというのを一人ひとりと対話しながら改めて気付いたんです。
 
しかし、一点一点着る人に合わせてパターンを作成したり、手作業で装飾などを取り付けていると、コストがかかってしかい、誰でも購入できる金額での販売は難しい。

その弱点を最新のテクノロジーが、一点物でありながら価格を抑えることが可能になるかもしれない。

いずれ、 誰でも一点物の服を手に入れられるようになる時代がやってくるかもしれません。
 
テクノロジーの進歩によって、発想としてファッションの世界は再びオートクチュールに近づいていくと思うんです。

この“未来のオートクチュール”こそ、新たなファッションの形だと確信しています。 
 

 

パリコレにこだわった理由

“未来の衣服”を呈示する場としては、最も権威と歴史のあるパリ・オートクチュールという舞台がふさわしいと思いました。
 
衣装制作の仕事においても、海外のクライアントをもっと増やしていきたいと思っていました。
 
エンターテイメント産業は海外の方が大きく、映画、セレブリティー、アーティストなど幅も広い。

世界へ向けて自分の世界観を発信し、さらなるステップアップを目指すべく、パリコレに臨みました。
 
フランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会(通称サンディカ)の専務理事に直接会って、面接を受けたのがショーの4ヶ月前。
 
オフィシャルでのスケジュールで開催できなくても、パリで発表する予定で半年間オートクチュールに全てを注ぎ込みました。
 
ショー開催の2ヶ月前にはゲストメンバーとしてオフィシャルでパリコレに参加できることが決定。

2016FW“UNKNOWN(未知なるもの)”をテーマに、初めての海外でのショーを終えました。
 

明日の最終話に続く
 

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